ナルニア国物語/ライオンと魔女 映画感想集
自分が映画「ナルニア国物語/第一章:ライオンと魔女」をみたのは、ジャパンプレミアのときなので、だいぶ記憶が薄れてきましたが、日本でもやっと一般公開となり、掲示板でも感想が多く書き込みされましたので、原作との比較も含め、詳細な感想を書きたいと思います。
まず、オープニングでロゴ(ディズニー・ウォルデン)が静かにでて、そのあとドイツ軍によるロンドン空襲を、独パイロットの目から迫力ある映像でこの映画は始まります。「オープニングをアクションで描き、観客を映画に引き込みたかった」と監督がいっていましたが、自分は、それはどーかなって思います。加害者側から「戦争」をだすってのは、どうでしょうか・・自分は、加害者のペベンシー家からみる 、「戦争」からはじまってほしかったです^^; さらに、この独空襲をのちにピーターが応用して、最後のベルナの戦いで、グリフォンらが魔女軍に石、火で空襲させるというのは、原作も無視してるし、戦争プロパガンダといわれてもしょうがないような。。
ペベンシー家が防空壕に逃げ込むシーンなどは、ロンドン大空襲を描く「ピーターパン2」にも似ています。「ピーターパン2」は、主人公ジェーンが空襲をいう現実により、夢の国「ネバーランド」を信じられなくなってしまい、そのせいで、妖精が死にそうになるという話(実は、管理人Tod&Pig劇場でみた唯一のディズニー映画^^)ですが、ナルニアと通じるトコがありますね!
汽車で疎開し、走り出し、ロゴがでてきます。汽車が走り出して物語がはじますの� ��、「シンドラーのリスト」「ハリポタ1」を思い起こします。そして、田舎駅につき、迎えの車が来たとおもったら、馬車がやってきて、四人はカーク教授の屋敷にいきます。
マクレディさんが厳しいのが、さらに四人の戦争での悲惨な気分をあげています。そこで流れてる戦争現場のラジオアナウンサーが、CSルイスの義理息子ダグラス・グレシャムで、この映画の監修もやってました。
そのあと四人はかくれんぼ!ルーシーはそこであの「衣装たんす」を発見。扉を開くとちゃんと「しょうのう玉」が転がってきます!そして、ナルニアへいき、タムナスさんと遭遇。そこの演技が、ルーシー役ジョージーを目隠しして、いきなりナルニアをみせたので「自然」なリアクションになってます。しかし、タムナスさんの上半 身が赤色でないのは。。。原作の挿絵でも、映画の特報でも赤だったのに、チョット残念(しっぽが短いという意見もありますが、自分は気づきませんでした。ロリコンっぽい意見もありますね^^;)
ぎこちない二人の会話。握手で慣習の違いをみせたのに、イワシの「カン詰め」のセリフは残念。イワシののったトーストならよかったんですが。で、タムナスさんと連れ添って歩く映像は、岩波版の表紙にも使われているほど、幻想的なシーン。作者ルイスは「フォーンと雪」のイメージを膨らまして、「ライオンと魔女」を書き上げ、その後、全七巻の壮大な年代記へとなったのです。
タムナスさんの家で、ルーシーは笛の音で眠りましたが、そこの幻でアスランがでてきて、タムナスさんが正気になったのは、朝びらき� �以降のアスラン登場シーンを思い浮かびますが、あのようなオーバーな(真っ暗になるような)演出はしなくてもよかったのでは。しかし、タムナスさん役の、あの表情の使い方なんかの演技はGood!
そしてルーシーは帰途につきますが、そこまで、そーっと静かに行って欲しかった(のちのビーバーさんとダムまでにいくのも、ガヤガヤしすぎでは・・)です。ルーシー以外の三人はもちろん信じなく、ルーシーは鬱に。そして、就寝後、ろうそくをもってこっそり衣装たんすにはいり、ナルニアへ行きますが、そこに次男エドマンドがついていき、彼もナルニアへ。。ここの部分は原作と異なり、原作では最初ルーシーが衣装たんすに入るのは、兄弟たちと屋敷内を探検しているなか、なにもなかったあき部屋に残って、衣装たんす を発見。そして二度目はかくれんぼで衣装たんすに入ります。
ナイアガラ活動名所を下回る
エドは魔女と遭遇し、誘惑させられます。「ターキシュ・ディライト」登場!しかしここでこっそり魔女の手下の小人がつまみぐいします。そのシーンは魔女の魔法がかかった「ターキシュ・ディライト」の意味がなくなってしまうのでは。。 魔女と別れ、ルーシーと帰りますが、上の兄弟にせめられたとき、「ごっこ遊び」をして、現実じゃないと発言。そこでルーシーはショックになり、たまたま来た教授に泣きすがります。そこで上二人は事情を説明しますが、カーク教授はルーシーは正しいと言います。
そのシラけムードのまま、夜が明け、外でクリケットで遊んでる中、「ドラえもん」のように、打ったボールが窓ガラスをガッチャーン。。。� ��敷にいそいで戻ると、マクレディーさんの恐怖の足音が!四人は空き部屋に逃げ込み、押し合いへし合いで衣装たんすにはいります。子どもの自然な様子なんですが、ナルニアへやってくるという原作の神秘性がうすれちゃったかも。原作では、来客者から逃げるように衣装たんすにはいるんですが、そこでしばらくじっと待機します。そこで雪に気づき、ゆっくり奥に進むとナルニアが・・・。
そこで、ルーシーが四人をタムナスさんの家へ連れて行きますが、そこはめちゃめちゃに荒らされてました。置手紙に狼モーグリムが「タムナスを逮捕した」とかいてあり、手形も!(この手形がなかなか好評^^;)とっさに警察に届けようといったのを、つれてったのが警察だといったのに、自然さを感じました!そしたら窓の外に� ��マドリがいて、外にでるとそこにはビーバーが一匹!「チュッチュッチュ、ヘイボーイ」とピーターが近づきますが、ビーバーはそこで言葉を発します!
そして四人はビーバーの家へ。原作じゃあ、こっそりそおっといったのですが、映画じゃあ「家へ帰る」などの議論がおこり、やたらやかましかったような。。できればビーバーダムに着いてから「議論」をしてほしかったです。ビーバー夫婦があつあつの若夫婦に見えてしまうのはともかくとして、原作でのおいしい食事シーンが、まずいイギリス(フィッシュ&チップス)料理の駄洒落になってしまったのには閉口。ダグラスはなにも言わなかったんでしょうか。。。非常に残念。
そして緊迫する逃走劇のはじまりはじまり。きつねがでてきたり、サンタクロースがでて きたり(この衣装は人間社会との文化の違いをみせるため大賛成です。ただでっかい肩のかざりがいただけないかな。)。サンタはどうもカーク教授と原作未読者に思われがちですが、違います。きつねは映画オリジナルキャラですが、自分がきつね好きなんで、うれしいです^^狼に噛み付かれても、魔女に脅されても、正義と忠実をもちつづけた彼の姿は雄雄しかった!
アスランのおかげで喜びの春が訪れるはずが、映画ではそれが障害となってしまいます。狼たちに追われ凍った滝を通ろうとしたら、滝が融けてきて狼たちに襲われます。そこでピーターが剣をふるうかどうかの成長を描けたのでしょうが(さらにいうとリアルなビーバーの濡れた姿のCG技術)、春の喜び・アスランの恵みを存分に描けなかったのでしょうか 。
アスラン登場シーンは満足です。クリエイチャーたちに動物が少ないのは、他の映像作品も同じなんであえていいません。途中の会話での「ビーバーを毛皮のコートに」云々のアスランの言葉はX。ピーターの「殺してやる」発言はOです^^;。アスランの横姿は美しかった。女性はアスランに惚れる・男気を感じる・萌える(汗)との意見多しですね^^
ビクトリア通りナイアガラの滝
裏切ったエドが魔女の館の王座に座るシーンは、魔女の恐ろしさをよく示していると思います。自分もハラハラしました。石像らも丁寧な作りでした。逃走劇が終わり、再びピーター対モーグリムの対決。モーグリムの倒し方がピーターのぎこちなさがでていて自然でよかったです。魔女がアスランと交渉しに来たときもそうですが、彼女は衣服やら髪やらみんな三角形のように見えました。たしかに人間ではないですね^^;(そのことの記述をもっと、さっきのビーバー家でビーバーさんにはなして欲しかったです。ビーバーさんはもっとアスランの威厳さも、ちゃんと話していなく、アタフタしてましたね^^;)
その前に、、アスランのキャン� �地で、スーザンとルーシーが武器の練習する風景がありますが、あれはいらなかったのでは、、と思います(その後、せっかくいい腕のあるルーシーはナイフをなげないから、しかたなくいれたのかなぁ。)。しかし、そのあとにある二人の交わす話「スーザンは最近遊んでくれなくてたいくつ」、そして、帰ってきたエドを素直に受け入れられないピーターの弱さなど、心理的なシーンが組み込まれていたのはとても良かったです。原作ではそんなに内面は映し出していません。
そうして、あの石舞台のシーン。自分は鳥肌がたちました。そういえば・・・「パッション」の音楽もヨーロッパ風ではなく、古代のドラム的な音が多く使われていたような気がしますが、この石舞台のシーンの音楽もそうで、異様な盛り上がりがあり� �す。 アスランが魔女との契約をはたすために、一人夜中に魔女軍団のところへ赴くのですが、なぜか眠れないルーシーとスーザンが不安になって、テントを抜け出し、アスランの後ろをこっそりついていきます。そして、到着直前にアスランは一人になって、その運命の場所へ。化け物たちの蔑み(は、映画本編ではあまりなかったような気がする。ついでに暴力も。。)があり、そして、威厳の象徴だった「たてがみ」をそられてしまうのですが、そこのシーンが多くの化け物が群がってアスランに踊りかかって無残に毛をそってきます。直接的な残酷性はないのに、(2chでここをSMプレイと皮肉られるほど)残酷にみえてしまう演出はうまいと思いました。
そして・・・魔女の演説、そして・・・ナイフがアスランを。。。� � 刺される直前、ルーシーとアスランとの目が見つめあいます。自分は映画を観る前は、原作のように刺すシーンはカットされるのだろうと思ったのですが、その目と目のあのシーンに、アスランは命を落とすのです。。
歓喜に沸いた魔女軍は、アスラン軍に攻め入ろうと移動を開始。ルーシー・スーザンはアスランの亡き骸に泣きじゃくります。ここで・・・自分は前日に公式HPでメイキング映像をみてしまい、そこのアスランはアニマトリニクスの人形だという知識が、純な感動を呼ばなかったのにはザンネンです。ジョージーの演技はピカ一でしたね。そのあとたしか、ルーシーがドリアード(花の妖精)にこのことを、アスラン軍にいるピーターたちに伝えるのはオリジナル。まあそのあとの戦闘開始直前にピーターが叫� �シーンにつながるわけですが。。そして、、夜が明けるころ、すこし離れるところで立っていたルーシーとスーザンの背後で轟音が!振り返ると、石舞台が真っ二つに割れていて、アスランが消えていたのです。 そして、暁の太陽を背に、アスランがよみがえって堂々たるたたずまいでたっていたのです。そこにある福音を、自分以外に「日本武道館」にいるすべての館客と、いつもTVでしか見ないような有名人も、一緒になって観ているという、その感動が、自分を襲いかかりました。涙はでませんでしたが、ああ、よくぞこの映画をつくってくれた!と、心から思ったのでした。「ライオンと魔女」の中で、一番感動的なシーンであり、前バージョンの文庫版「ライオンと魔女」の表紙の絵で描かれるように、一番重要なシーンで もあるのです。
トロントからナイアガラの滝旅行
さて・・伝言をうけとったピーターとエドマンドは、ショックを受けます。そして、ナルニア全軍を率いて、晴れ晴れと広がる空の下、「ベルナの戦い」はきっておこるのです。ここの描写はハリウッドらしい、広大に描かれています(原作はまったく違います。アニメ版のほうが忠実かな^^;)。魔女が鎖かたびらのスカートと威嚇的な冠、そして、アスランから刈り取った(らしい)毛を、首にまき、白熊がひく戦車にのって、登場。敵隊長が、(LOTR2よろしく)岩のうえにたち、吼えます。そして前進を開始。ピーターは鎧兜を着て、隊長のセントールと並んで先頭にたち、叫ぶのです。「ナルニアのため、アスランのために!」と。 鳥肌もの です。
そして全軍の士気がたかまり、崖の上に待機するエドマンドの班から、空とぶ動物たちによる、落石の空中攻撃が開始!ですが、この攻撃はどうやら冒頭に描かれている「ドイツ軍の大空襲」をモデルにしたらしい罫線がみえてしまいます。が、彼らペベンシー家は戦火のなか、父は戦争に、母とは疎開で離れ離れになるという苦しみを、そんなふうに逆手にとるのは、、個人的には賛成しかねぬシーンでした。そして、、、真っ白のユニコーンにまたがるピーターを先頭に、本格的に戦闘が開始!お互い凶器で斬り合っているにもかかわらず、出血・バイオレンスシーンはゼロ。それを貫いたのは褒めるべきことでしょう。この話は「児童書」なのですから。しかし・・・そんな制作側を無視したDisneyの宣伝は、「第二のLO TR」のようにしてしまって、観客は期待はずれを被ってしまったのです。
唯一の犠牲者のグリフォンが魔女の杖に「刺され」て、石になって岩壁にぶつかり、肉体がばらばらに砕けちりました。その魔女の杖を、エドマンドが勇敢にも切りつけ、粉砕したのですが、魔女は「二刀流」となり彼を倒しました。その様子をみていた隊長セントールが、勇ましく魔女に向かっていきますが、やられてしまいます。そして、ピーターと魔女の一騎打ち。ピーターは「マトリックスよけ(イナバウワー)」をしてかわし(シュレック・パロディがぬけてない^^;)、あやういところに、復活したアスランと、彼が癒した「魔女の館で石になっていた人々」、スーとルーが援軍にきます。
魔女は倒れ、ナルニアの地に平和が訪れ、ペベ� �シー四兄弟はケア・パラベル城で、アスランから王冠を戴きます。そのシーンは「SW4」ラストにも通じるしめですが、、物語はまだ終わりません。勢いのある曲とともに、大人になったペベンシー四兄弟は、幸運を呼ぶといわれる白鹿を追うため、馬で走っていきます。深い森に入り、四人は馬から下りざるをえなくなり、先へ進みます。そうしたら、あの見覚えのある「街灯」が。そしてさらにすすむと、そこは衣装たんすのなか。押し合いへし合いで、わっと衣装たんすの「外」、そう、あの教授のやしきの「あき部屋」です。四人は姿は入ってきたときと同じ子どもの姿、しかも出てきたのは、ナルニアへいった同一時刻!
その部屋に(マクレディさんではなく)カーク教授がガラスを割ったボールを手にもって入ってきま� ��た。四人の話を聞き終えたカークは意味深な反応をします。その理由は、カーク教授が少年時代だったときを描いた「魔術師のおい」で描かれています。
そしてエンドクレジット。BGMがポップソングだったのは微妙でしたし、武道館の観客ほとんどが立ち上がってしまい、余韻にふける余裕などありませんでした。そのあと、カーク教授と子どもたちとの「続き映像」があったのに、まったく見えませんでした。。
2/16(水)、日本武道館「ジャパン・プレミア」にて。
3/25(土)、文完成。
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